【2026年度開始】子ども・子育て支援金と子ども・子育て拠出金──名称が酷似する二制度の相違と負担構造の整理

2026年4月分の保険料から、医療保険料に上乗せする形で「子ども・子育て支援金」の徴収が始まりました。給与明細上では健康保険料等の増加として見えるため、従業員から問い合わせを受ける事業主も少なくないと思われます。

この「子ども・子育て支援金」は、従来から存在する「子ども・子育て拠出金」と名称が似ていますが、両者は負担者や徴収経路が異なる別の制度です。本記事では、公認会計士・税理士の立場から、両制度の違いと事業主負担への影響を整理します。

目次

結論:2026年度以降は二つの制度が併存する

子ども・子育て拠出金と子ども・子育て支援金は別制度です。子ども・子育て支援金の創設によって、従来の子ども・子育て拠出金が廃止されたわけではありません。

つまり、従来の拠出金は引き続き事業主が全額負担し、そのうえで2026年度から新たに支援金が加わります。被用者保険における支援金は、原則として労使折半です。

項目子ども・子育て拠出金子ども・子育て支援金
制度の位置づけ従来から存在する制度2026年度から始まった新制度
2026年度の率0.36%0.23%
主な徴収経路厚生年金保険料と併せて納付医療保険料に上乗せ
従業員負担なし原則2分の1
事業主負担全額原則2分の1
算定基礎標準報酬月額・標準賞与額標準報酬月額・標準賞与額

子ども・子育て拠出金とは

子ども・子育て拠出金は、従来から存在する制度です。厚生年金保険の被保険者について、標準報酬月額および標準賞与額を基礎として算定されます。

2026年度の拠出金率は0.36%です。この拠出金は従業員負担がなく、全額を事業主が負担します。そのため給与明細上は見えにくいものの、会社側には法定福利費として負担が発生しています。

子ども・子育て支援金とは

子ども・子育て支援金は、2026年度から始まった新しい制度です。被用者保険に加入している場合、2026年度の支援金率は全国一律0.23%とされています。

被用者保険では、支援金は原則として事業主と従業員が半分ずつ負担します。したがって、0.23%のうち、従業員負担と事業主負担はそれぞれ0.115%相当となります。

2026年4月分の保険料から開始されますが、社会保険料を翌月徴収としている会社では、実際に給与から控除されるのは2026年5月支給給与からとなるのが一般的です。

標準報酬月額30万円の場合の負担額

標準報酬月額30万円の従業員1名を前提に、単純化して試算すると次のとおりです。

  • 子ども・子育て拠出金:300,000円 × 0.36% = 1,080円(全額事業主負担)
  • 子ども・子育て支援金:300,000円 × 0.23% = 690円(原則として労使折半)
  • 支援金の事業主負担分:345円
  • 支援金の従業員負担分:345円

この場合、事業主側の負担は、拠出金1,080円と支援金の事業主負担分345円を合わせて、月額1,425円となります。実際の給与計算では、標準報酬月額の等級や端数処理を確認する必要があります。

給与計算・資金繰り上の注意点

実務上重要なのは、子ども・子育て支援金が従業員にとっては手取りの減少、事業主にとっては法定福利費の増加になるという点です。

特に事業主側では、従来から負担していた子ども・子育て拠出金に加えて、2026年度から支援金の事業主負担分が上乗せされます。従業員数が多い会社では、月次の固定費として資金計画に織り込む必要があります。

支援金は段階的に増える予定

子ども・子育て支援金は、2026年度で完結する制度ではありません。国は支援金の規模について、2026年度から2028年度にかけて段階的に引き上げる方針を示しています。

  • 2026年度:約6,000億円
  • 2027年度:約8,000億円
  • 2028年度:約1兆円

そのため、2026年度の料率だけを前提にするのではなく、今後の負担増も見込んだうえで給与計算システムの設定や資金計画を確認しておくことが大切です。

まとめ

子ども・子育て拠出金と子ども・子育て支援金は、名称は似ていますが、負担者や徴収経路が異なる別の制度です。2026年度以降は、両制度が併存します。

給与計算において似た名称の項目が二つ出てくることに違和感を覚えるかもしれませんが、それは入力ミスではなく、制度上二つの負担が存在するためです。

事業主・実務担当者は、両制度の違いを把握したうえで、給与計算システムの料率設定、従業員への説明、事業主負担の経理処理、資金計画への反映を進める必要があります。

本記事は2026年8月時点の情報に基づいています。料率や制度内容は変更される可能性があるため、実務では日本年金機構・こども家庭庁等の最新情報をご確認ください。

給与計算・法定福利費の処理でお困りの方へ

子ども・子育て支援金の給与計算対応、法定福利費の処理、社会保険料の事業主負担の整理については、前川公認会計士・税理士事務所までご相談ください。

2026年分の確定申告・源泉徴収票の作成等について個別に相談したい方は、2026年分 確定申告サポートをご確認ください。

参考情報

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この記事を書いた人

前川 崇志のアバター 前川 崇志 公認会計士・税理士

前川公認会計士・税理士事務所 代表。公認会計士・税理士。監査法人、保険会社、不動産会社での実務経験をもとに、会社設立、税務顧問、資金調達、freee導入、相続税申告まで幅広く支援しています。

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